飲食店の経営者および現場で店舗マネジメントをしている方々を対象に、「飲食店経営で知っておきたい5つの数字」というテーマでミニ研修会を実施しました。欲を言えば5つに限定することなく把握しておきたい数字はたくさんあるのですが、優先順位をつけて重要度の高い点に絞って講義を行いました。
そもそも数字に対して苦手意識やアレルギーを持っている方も多いので、できる限り簡単にわかりやすくをポイントに実施しました。そして、何よりも重要なのが現場で使えるかどうか。個々の部分についてはこだわって準備をしています。今日はその一部をご紹介します。
飲食業を含めた様々な業種において経営指標と呼ばれるものを分析する際にはいくつかの観点があります。代表的なものとして「収益性」「効率性」「安全性」などがあります。今回実施した研修でもこの3つの観点から5つの指標をレクチャーしました。
5つの中で一番質問や感想を多く受けたのが、損益分岐点に関するパートでした。損益分岐点というのは、売上と経費がイコールになる売上高のことを指します。経費には、変動費と固定費があって、売上高から変動費を引いた値を限界利益率と呼んで。。。。。ってやっていると混乱してしまいますよね。正しい計算式はあるのですが、実際の運用方法として損益分岐点を都度計算するというのはかなり手間がかかります。そして、使わなくなってしまいます。これでは全く意味がないので、使いやすいざっくりした計算方法をお伝えしました。
損益分岐点をざっくり考える時に大事なポイントは、「粗利=固定費」になるポイントを知るということです。飲食店における粗利とは、「売上ー仕入れ」でOKです。固定費は仕入れ以外と考えましょう。グラフにするとこんな感じです。
本来は細かくやった方が良いのですが、細かくやりすぎて管理しなくなるよりはざっくりでも良いので粗利がどの程度必要なのか把握することの方が遥かに重要です。では、実際にどのように把握していけばよいのか?
1.月の固定費(仕入れ以外の経費)を予測する
2.日々の売上から仕入を差し引いた金額(粗利)を記録する
これだけでOKです。固定費の予測がついたらグラフに横線を記入しましょう。あとは日々の粗利を記録していけば上図の様なグラフのできあがりです。エクセルを使用すると簡単にできますが、手書きでももちろんOKです。このグラフを作ると経営者や店舗マネージャー自身が収益状況を把握できることに加えて、その他の店舗スタッフにも見える化して共有することが可能です。プリントアウトしてバックヤードに貼っておくこともできます。
損益分岐点以外には、主要経費であるFLR、運転資金の目安、など飲食店経営に必要な数字の話をしました。そして、分析した後にどのような改善策が考えられるのかという事例をお伝えしました。数字を把握することはもちろん重要なのですが、大切なことは分析した数字を今後の経営にどのように活用するかということです。分析するだけではなく、今後の方向性を検討する重要な判断材料にしていきましょう。