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子供の夏休みの宿題から学んだ自主性が向上するマネジメント

 やっと終わりました、長い長い夏休みが。と言っても自分の夏休みではなく子供の夏休みです。身の回りに小学生がいる方であればわかって頂けるのではないでしょうか。昼間は暑くて出かけられないし、給食は無いのでお昼ごはんは家で作るし、何よりも夏休みの宿題が本当に大変です。私が子供の頃よりも宿題の量は減っているとはいえ、子供だけで終わらせるのは困難な様に見受けられます。毎年苦労しているのですが、今年は趣向を変えて色々なやり方を試してみました。

1.計画は本人の意向を尊重する

 私は事業計画作成の仕事も行っているので、言ってみれば計画づくりの専門家です。ですので、今までは計画の作り方にも口を出してしまっていたのですが、今年は本人に任せました。最終的には確認を行いましたが、本人が作った計画を尊重してやってもらいました。

 夏休み全体の計画だけではなく、1日単位の計画や段取りに対してもある程度本人に任せるやり方はうまくいったのではないかと思います。例えば、「宿題をやってからゲームしなさい」という定番のセリフですが、本人がゲームをしてから宿題をしたいというのであれば、それはそれで良いという方針で見守りました。

 自分自身に置き換えると、「サーフィンに行ってから仕事」「ジムに行ってから事務作業」なんてことがあります。それを「仕事をしてから遊べ」と言われたらモチベーションはダダ下がりですからね。計画通りに進めることも大事ですが、作った計画が自分のものだと本人が認識することに意味があったようです。周りが口を出しすぎると当事者意識が希薄になってしまいます。

2.走り出すまでは一緒にやってみせる

 手取足取り全てを親がやってしまっては意味がありませんが、すべてを本人に任せてしまっては丸投げになってしまいます。どの宿題でも取り掛かり始めはあまりエンジンのかかりがよくないので、「本人が自分でやってみる」と言い出すまでは伴走することにしました。

 例えば、夏休みの宿題界の不動の王様、自由研究。自由すぎるからこそ逆に何をして良いか親も子供も迷ってしまいます。そもそも、研究したいテーマも決まっていない状態で夏休みに突入して来ます。もう少し学校で前さばきしてくれよ、という本音はさておき、テーマを決めないと先に進まないので一緒に考えます。そして、興味があるテーマがいくつか出たら、一緒にネットやYouTubeを活用してやってみたくなる研究や観察を決めるようにしました。

 今年は「リニア」に興味があった様なので、一緒にアルミホイルと電池を使った電磁力で動く実験をしました。作っている最中は本人も楽しそうにやっていたので何よりです。テーマが決まってから具体的に何をすれば良いのかを理解してからは、自分でやってみる状態に入っていったようです。自由研究のレポートのフォーマットについては、WEB上からフォーマットを用意してサンプルと一緒に手順を確認しました。今年に限って言えば、レポートの作成についてはほとんど手伝うことなく完了しました。

今年の自由研究テーマ「リニア」

3.1日単位で計画から遅れていてもごちゃごちゃ言わない

 本人が作った計画を尊重するとは言いましたが、あまりにも進捗が遅れているとなぜか親の方が焦るものなんです。ただ、親が焦っても何の意味も無いということに気づきました。きっかけは妻から「自分で決めた計画なんだからとりあえずやらせてみればいいんじゃない」と言われたことでした。

 今までは目につくと進捗状況を確認していましたが、今年は進捗確認の頻度を1週間~10日程度に設定して確認を行いました。進捗状況についてもこちらから「進度を上げた方が良いよ」といった指示型のフィードバックを減らし、「遅れている分はいつ頃やる予定か教えてね」というコーチング型の接し方を増やすことにしました。

 さて、この3つの取り組みをした結果どうなったのか?もちろん、すべてが上手くことが進むはずは無く、私と子供が言い合いをした、本当は4つやならいといけなかった読書感想文(短いやつ)を1つしかやらなかった、算数ドリルを最終日の夜に駆け込んでやった、なんてことがありました。

 しかし、去年よりも明らかに変化した点は自分でやり切ろうという姿勢が強かったことです。また、「どうしたらよい?」という質問が減り「こういうのはどう?これはどうかな?」という質問が増えました。これは「考えることを投げるのではなく、自分が考えた事を相手に投げる」ということなんだと思いました。相手にどのような成長を期待するかによって関り方は千差万別ですが、長い目で見れば1つの方法として有効だと実感しました。

 これを大人相手の人材育成に置き換えてもある程度は同じことが言えるのではないかと思います。就職したからといって必ず興味のある業務があるわけではないし、先輩社員としては一緒に仕事の面白さを伝いていくことも重要です。計画の作り方についても本人の意思を尊重しないと、どんどん当事者意識が低くなり「やらされ仕事」になってしまいます。もっと言うと、仕事でなく作業になってしまいます。

 ビジネスの場面では失敗は少ない方が良いと言えますが、リカバリー可能な範囲での失敗は成長のためにも必要です。重要なことは大けがをしないようにしっかりと観察して、適宜フィードバックを入れていくということです。今回ご紹介した事例は全てがうまく魔法の方法ではありませんが、中長期的な人材育成を目指す組織におかれては参考になっていると幸いです。

 最後に自分自身の子供との関り方を振り返ってみると、自分の場合は子供を自分の思い描いたとおりにしようとする傾向が強い様です。しかし、子供には子供の見えている世界があるので、ある程度走り出してからは本人に任せてみることが大事だと感じました。

 ついつい、口を出してしまいたくなってしまうのですが、夏休みの宿題が終わらないというのも1つの経験と割り切ってしまえばこちらも少し気が楽になりました。「夏休みの宿題はちゃんとやらないといけない」というのは親の非合理的な思い込みなのかも知れないなぁとも思いました。もちろん、やるに越したことはないんですけどね。こんな自分の固定概念に気づかせてくれた妻には本当に感謝です。

 下の子供も小学生になると毎年夏休みの宿題の伴走支援がある予定なので、来年もまた頑張っていきたいと思います。

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