日本酒の酒質向上に向けた設備投資を計画している企業から補助金申請のご相談を受けました。千葉県の神崎で「不動」「仁勇」を醸す鍋店酒造は、創業して300年以上が経っています。もともとは成田山新勝寺の近くで酒造りをしていましたが、現在は香取郡神崎町にて酒造りを行っています。今回は、海外輸出向けに酒質改善を目的とした整備投資を計画されており、国税庁で公募している酒類業振興支援事業費補助金の申請に関するご相談を受けしました。設備投資や今後の計画について大塚会長からお話を伺いました。



伊藤:今日は宜しくお願い致します。ふと思い返してみたんですが、初めて大塚会長にお会いしてからちょうど10年が経ちました。
大塚会長:もうそんなに経ちましたか。確かあの時はまだ酒屋さんにお勤めでしたよね。田野屋さんでしたっけ?
伊藤:そうですね。ちょうど独立する直前のタイミングでした。私が独立してからちょうど10年になるので、計算は合っているはずです(笑)あの時はある企画のインタビューでしたが、奇しくも今回もインタビューということで宜しくお願い致します。まずは、今回の事業計画の内容についてお聞かせ下さい。
大塚会長:簡単に言うと日本酒に含まれる炭酸ガスの含有量を増やすための取り組みです。背景としては、当社は海外輸出に力を入れておりまして、海外需要の高い製品を製造するということが目的です。
伊藤:海外だとスパークリングなどの製品が人気なのですね。
大塚会長:もちろん輸出先によって好みの違いなどはあるのですが、当社がターゲットとして想定しているエリアでは、スパークリングに近いガス圧の日本酒の人気が高い傾向がありました。そのため、今回は直汲日本酒のガス圧を高める取り組みを行うことになりました。
伊藤:新規で設備投資を行う頻度は多いのでしょうか?
大塚会長:はい。新規設備を導入することもありますが、老朽化した既存設備の更新や入れ替えなど、断続的に行っているイメージですね。近年は、機械装置の価格も値上がりしていますし、ご承知の通り原材料の米の値段も上昇しているため、頭の痛い話です。このような経営環境では、今回のように効果的に補助金を活用できるということはとてもありがたく感じています。
伊藤:補助金申請は無事に採択されたとのことで、支援者側としてはとてもホッとしております。
大塚会長:本当にありがとうございました。ご相談したタイミングも締切が近いタイミングだったので、打ち合わせも夜に行ったり、週末に行ったりと大変だったかと思います。タイトなスケジュールの中でご対応頂けてとても助かりました。結果も無事に採択となりましたし、少しの情報でこちらの意図を理解して頂けたのでストレスなくスムースに計画策定が実施できました。
伊藤:それはとても嬉しいお言葉です。私も大塚会長とは診断士として開業する前からのお付き合いですが、今回私にご依頼を頂いた理由はどのようなものだったのでしょうか?
大塚会長:実は伊藤さんにご相談する前に継続的にご依頼していた方がいたのですが、急遽別のお仕事に就かれたとのことで、お仕事を受けられない状況になられました。そのため、今回は急なご依頼になってしまいました。伊藤さんは酒類業界出身ということもあり、業界に詳しいので話が早そうだと思いました。あとは、千葉県の旅館ホテル組合のプライベートブランドを作る際にも伊藤さんがコーディネートされた案件がありましたよね。それもありましたので、伊藤さんにご相談しよう!とすぐに思いつきました。
伊藤:「魚好」の立ち上げの時ですね!その節は大変お世話になりました。千葉県内の旅館・ホテル限定のブランドとしてご協力頂きまして、とても評判が良い商品となりました。
大塚会長:おかげさまで当社としても、年間を通して安定的に出荷できております。ブラインドテイスティングで当社をご指名頂いたという点についても嬉しく思っております。
伊藤:双方にとってメリットがあるお仕事にすることができてとても嬉しく思っております。今回は、補助金申請に関する初めてのご相談でしたが、当社の対応についてよかった点や改善点などがありましたら率直に教えて頂けますか?
大塚会長:良かった点については、こちらの事業もありタイトなスケジュールの中でもスムースに計画して頂けたことです。あとは、やはり酒類業界出身なので話が早かったと思います。前任の方も頭の良い方でしたので、説明するとすぐにご理解頂けたので全く問題なかったですが、伊藤さんに対しては業界の商習慣などは説明するまでもなかったですね。その点は、楽に感じました。改善点は、あまり思いつかないですね。インタビューだからというわけではないですが(笑)
伊藤:ありがとうございます(笑)酒類業界は独特の商習慣がありますからね。経験している中で身に着けた知識は多いように感じます。最後に、今後の展望についてお聞かせください。
大塚会長:日本国内の市場では商圏の拡大を目指しています。特に「仁勇」ブランドは徐々に広がってきていることもあり、今後も継続していきたいと思います。また、今回ご相談させて頂いた海外輸出についても、これまでと同様に拡大させていきます。商品開発や改良を通して、日本酒の魅力を世界に発信していきたいと思います。
伊藤:大塚会長、本日は貴重なお話をありがとうございました。今後のご活躍を祈念しております。
